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職場のモラルハラスメント > 「ハラスメントに負けない」 砺波総合病院の取組


病院はモラルハラスメントの温床である!

これは、モラルハラスメントという言葉を世間に広めたフランスの精神科医マリーフランス・イルゴイエンヌが、2006年2月に初来日し、東京大学で 『職場のモラルハラスメントをなくするために』 というタイトルの講演での発言です。

イルゴイエンヌによると、これまで行われた、あらゆる国の、あらゆる調査で、医療機関におけるモラルハラスメントの発生率は高い、ということでした。

まず根本には、精神的ストレスの高い職場であること。

医療における複雑な権力構造。看護師にとっては、医師と看護師長による二重の指示系統がある、というようなことから、複雑な人間関係がハラスメントに繋がる可能性が高まる。

臨機応変が求められる仕事であり、職種による立場の違いからの意見の対立もある。

このような状況では、悪意のある人間にとっては、ヒトの揚げ足をとることは簡単で、陰湿なハラスメントをいくらでもすることができてしまう。

こんな説明をしていました。

実際、私が受けた相談でも、医療関係者・福祉関係者が比較的多く、イルゴイエンヌの指摘を裏づけます。そして、陰湿に相手を無視したり、追いつめたりするケースが多いように思います。

私たちは、病気や怪我をしたときに、病院に行きます。そして、病院ができる限りのことをしてくれる、と普通に信じているのではないでしょうか?特に、総合病院では、チーム医療の名のもとに、専門家が一体となって、治療にあたってくれる、そう信じています。

ところが、実際には、どろどろした人間関係の中、陰湿なモラルハラスメントが行われていることも多いのです。そこではチーム医療は機能しません。

モラルハラスメントを受けている被害者は、ストレスホルモンが体に蔓延し、心理的にも生理的にも、非常に敏感になります。些細な事に対しても過剰に反応・萎縮してしまい、集中力や記憶力などが失われるのです。そのような状態では、ミスが多くなるのは当然です。

一般企業であれば、不良品が生まれたり、製造工程がストップしたりするなどして、生産性が損なわれます。しかし、ある意味、まだまだ挽回は可能です。

医療機関におけるミスは致命的なものとなりかねません。

例えば、ある看護師が、医師から精神的な嫌がらせを継続的に受けていたとすると、その看護師は、患者について、医師からの指示を仰がなければいけない状況においても、その医師との関わりをできるだけ避けたいという思いに駆られるはずです。

これが医療サービスの低下、ひいては医療ミスに繋がります。

そのような行動は、プロとしては言語同断だ!と思われるかもしれません。しかし、継続的なハラスメントを受けている人間にとっては、これはもう理屈ではないのです。

頭では分かっているのです、指示を受けなければいけないことを。でも、からだが反応しなくなるのです。これは被害者にしかわからない感覚かもしませんが・・・。

このような精神的な追い込みから、多くの看護師・コメディカルが、うつ病などのメンタル疾患に追い込まれているのです。さらに、研修医や若手医師も、その被害を受けています。

講演の依頼を頂いた市立砺波総合病院の小杉院長のお話では、これまで実際に、モラルハラスメントが原因と思われる医療サービスの質の低下や、職員のメンタルヘルスの悪化があったそうです。

700名のスタッフを抱える大病院です。あって当たり前かもしれません。前述のとおり、病院はハラスメントの温床なのです。

面白いことに、私はそれまで、病院から、講演や研修の相談を受けたことは、1回もありませんでした。医療機関のスタッフ(特に看護師)の離職率が高いこと、メンタル疾患の罹患率が高いことは、明らかであるのに、技術的なこと以外で、スタッフ教育を推進する医療機関は少ないそうです。

医療機関のシステムに詳しい知人が、病院でスタッフ研修が進んでいないのは、医局中心の医療展開という構造から、積極的に医師以外のスタッフの人材育成をするということに、イニシアチブを取れないような構造になっているから、と話していました。

どこまで正しいのかはわかりませんが、今回、砺波総合病院では、小杉院長のイニシアチブのもと、職場のハラスメントについて考えるシンポジウムが開催され、平日夕方からの自由参加形式でありながら、120名以上が参加する、盛況なものとなりました。

ハラスメント問題は根深く、これでハラスメントが完全になくなるわけではありません。しかし、職員にとっては、病院幹部が真剣にこの問題に取り組んでいることを知り、大いに勇気付けられたのではないでしょうか?

ハラスメントの被害者は、孤立すればするほど、その心的被害は深刻になります。病院全体で、この問題に取り組んでいる、そして、この微妙な問題を理解してくれている人間がまわりにもたくさんいる、ということが伝われば、被害を受けている人も、安心してまわりに相談できるようになります。

これが大切なのです!

今回の講演は、『ハラスメントに負けない』 という院内シンポジウムの一環として行われたものですが、砺波総合病院のスタッフにとって、そんな良い機会になったはずです。

シンポジウムでは、私が下記のタイトルと内容で60分の講演をしたあと、精神科医、師長、院長、弁護士が続いて発表し、最後にパネルディスカッションを行いました。全部で140分程度でした。

『 医療の質を低下させる職場のハラスメント 』
- 職場のハラスメントとは?
- 病院はハラスメントの温床!
- ハラスメントの分類、事例、事例紹介
- ハラスメント加害者のタイプ
- ハラスメントの増加要因
- 代償と被害者心理
- 職場ハラスメントの予防策
- 被害者へのメッセージ

※講師費用は10万円からです。講演・研修内容につきましては、法人プログラム小冊子に複数のパターンが記載していますので、資料請求フォームからお申し込み下さい。


 

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