【事例】
私は事務チーフをしているかよこ(31歳)です。年下の部下、アカネさんとの関係に悩んでいます。アカネさんは、私の発言に、とにかく何でも「NO」を出します。口癖は、「じゃなくてぇー」と「てゆーかー」。会話をバーンと否定語で打ち切って自分に引き取り、こちらが反論すると、非常にイライラしたふうに、「だ・か・らー」と大きな声で威圧し、自分の主張を繰り返します。
私の行動を一部始終監視して、うっかりがあれば、「なぜ〜しないんですか!」とすかさず叱責し、その後「だめだこりゃ」という馬鹿にした視線、軽蔑したまなざしをします。仲間たちにも「チーフらしいことなにもしていない」「全体が見えていない」と私の悪口を言っており、部署内でも立場がなくなってきました。
突然怒られるので、とにかくアカネさんのチェックが怖く、最近では、アカネさんと接触すると、心臓の鼓動が早くなり、喉がふさがってつまる感じがします。胃がきゅんとします。・・・
この言葉を最初に使ったのは、フランスの精神科医 マリー=フランス・イルゴイエンヌ博士です。それ以前は、このような職場でおこる問題は、「職場のいじめ、精神的虐待・暴力」と一括りで認識されていました。
<マリー=フランス・イルゴイエンヌ博士による定義> *注
言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」
それまでの、いわゆる「いじめ、精神的虐待・暴力」は、意図的に悪意を持っていることが前提となりがちであったのに対し、「モラル・ハラスメント」では、指導・教育などとして、積極的に悪意を抱いておらず、自覚なしにハラスメント行為を行っているケースを含むのが特徴です。
「モラル・ハラスメント」という言葉が定義されたことより、これまで、「いじめ」等としては認識されづらかったハラスメント行為が、精神的な暴力として、社会に認識されるようになりました。特にヨーロッパを中心とした海外では、近年、これらのハラスメント行為に対する法律も整備されてきています。