日本でパワー・ハラスメントという言葉が、短期間でここまで普及した背景には、近年猛威を振るったリストラの嵐があったからであることは間違いありません。
つまり、一般的に企業が社員を解雇する場合、次のような費用がかかります。
それに対して、パワー・ハラスメントにより社員を追い詰めて、自己都合で退社させることができれば、これらの出費を抑えることができるのです。勤務期間等にもよりますが、中高年の管理職クラスであれば、その額は100万円を下らないでしょう。
怒り・不安・緊張などのストレス・フラストレーションを解消するために、人は様々な反応を示すことが知られています。その際、忍耐強く冷静に障害を回避したり、それを克服する努力をして合理的に緊張を解消しようとする人もいれば、非合理的な感情的反応を表し、事態に上手く対応できない人もでてきます。
つまり、もっと簡単にいえば、リストラ圧力、目標達成などの心理的プレッシャーから逃れるために、誰かに「あたる」ことで、一時的に自分の心の平静を保とうとする上司がいるということです。
「追い詰められた心理」に取り付かれた上司の「いじめ」や横暴な振る舞いは、
多くの場合、その人自身の「性格」によるものではなく、「ある状況」が引き起こしたといっていい。昨今の、リストラをはじめとする職場環境の変化が、上司を精神的に追い込んでいるのは間違いない。・・・そうした上司の多くは、自分がよじれた心理状態に追い込まれていることをある程度は知っている。
職場ハラスメントの分類のページでも取り上げているように、提唱している人物がそれぞれ異なるので、パワー・ハラスメントとモラル・ハラスメントは、混同されていますが、モラル・ハラスメントを提唱しているイルゴイエンヌ博士は、上記で説明したようなパワー・ハラスメントも、モラル・ハラスメントに含めています。