【相談例】
私は、派遣社員として、某有名企業のシステム室に勤務しており、通常、上司と2名でサーバ室に常駐していますが、その上司のことで頭を抱えています。前任者からの引継ぎ業務も終え、前任者が退職した日のこと、送別会の席で突然、上司が私の腹部に触ってきて「腹が出てる」と言い出しました。突然の出来事だったので、驚いたと同時にどう対処してよいか分からなくなり、言葉が出ませんでした。この日を境に事ある毎に私の体に触れてくるようになりました。「少し太ったんじゃないのか?」と言っては頬に触れたり、何かにつけて私の手首を掴んだり、耳たぶや首筋に触ったりといったことをするようになったのです。これらの一連の行為は第三者の前では決して行わず、私と2人だけの状態の時に行われました。何かにつけて体に触れるという行為が、本当に嫌だったのですが、いかんせん、私は入社したばかりの新人、うかつな反論も出来ず、ただ笑ってごまかすしかありませんでした。しかし、私が何も言わないのをいい事に体に接触する行為は日毎にエスカレートするばかりなのです。
セクシュアル・ハラスメントとは、時・場所・相手をわきまえずに、相手を不愉快にさせる性的な言動のことです。セクハラとなるかは、あくまで平均的な女性がその状況で、そのような言動を受 けた場合、不快と感じるかを基準に判断されます。
とはいっても、特に繊細で不快と感じやすい人の場合でも、不快な言動が続けられた 場合にはセクハラとされることもあり、快か不快かを決めるのはあくまで、そのよう な言動を受けている人ということになります。
セクハラで大切なポイントは、加害者のハラスメント行為の根源を見抜くことです。
加害者が、「歪んだ自己愛人間」であった場合、それはセクハラにとどまらずに、モラル・ハラスメントに発展する場合があります。
(セクハラとは、)単に女性から性的な利益を引き出そうとするというだけの問題ではない。セクシュアル・ハラスメントを行う人間は、それ以上に、権力を見せつけることや、女性を性的な<モノ>として見なすことを目的にしているのだ。加害者はセクシュアル・ハラスメントをすることによって、被害者の女性を<所有>しようとする。被害者の女性はそれを受け入れ---それどころか、加害者によって選ばれたことを喜び、誇りに思わなければならない。加害者はその女性が<ノー>と言うとは考えてもいないのだ。もし、そこで<ノー>と言ったら、辱めや攻撃を受ける。また加害者は女性のほうから誘惑してきたのだとか、女性も同意していた、あるいは望んでいたのだと言うことも珍しくない。
「モラルハラスメント - 人を傷つけずにはいられない」 123-124 page
一部の企業では、セクハラ対策に真剣に取り組んでいます。管理者教育などは、それなりの効果はありますが、「歪んだ自己愛人間」の管理職には効果がほとんどないのが実情なのです。
なぜなら、「歪んだ自己愛人間」にとっては、自分の行っている行為が、相手に迷惑をかけている、などとは全く思っていないからです。
次の章では、これらのハラスメント加害者のタイプについて詳しく説明します。